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インタビュー「冬の節電 専門家に聞く 「脱原発依存」の好機に」

*橋本努・北大大学院教授=経済社会学

 

2012113日『北海道新聞』

朝刊全道(総合)5ページ、所収

 


 

 泊原発を動かさなくても冬の電力が足りることは北電のデータでも明らかで、7%の節電目標はあくまで火力発電所などのトラブルに備えたものだ。
 電力不足の見通しがない地域に節電目標が設定されるのは今冬の北海道が初めて。
 これを政府に押し付けられた目標だと考えるのではなく、原発に依存しないライフスタイルを実現する好機だと前向きに捉えたい。原発がなくても大丈夫だと実証するための実験に、道民一人一人が参加するということだ。
 道内でもオール電化住宅が増えており、家庭も含めて一律7%の節電となれば、特に暖房需要の大きい冬場は難しい面がある。大学や自治体などの公共機関は10%以上の節電を示して全体を引っ張るべきだろう。
 もちろん各家庭も節電の努力を積み重ねる。そうすれば7%は十分達成できる。
 原発もオール電化も、電気を多く使ってもらいたいという電力会社側のニーズに基づいて増えてきた。それに気付き、必要なエネルギーをいかに代替できるかを考え、生活を見直すことが大事だ。
 道内は、風力や太陽光、バイオマスなど自然エネルギーに恵まれており、長期的にはいろんな実験が可能。この冬の節電の取り組みが、原発に依存しない北海道の将来像を描く第一歩になることを期待している。